セキュリティーマンション ~賃貸住宅を社会学の視点で考える~

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セキュリティーレベルの高いマンションを求める傾向は、沖縄県においても年々、高まっている。

 テレビをつけると連日、ストカー被害やそれに類するような知人間のトラブル、あるいは見知らぬ人からの被害を受けたというニュースが流れている。

かつて、日本の各地で見られた、「鍵をかけないで、留守にしても、誰に、何も取られない」という時代は、過去のものとなったのだろう。
どの県においても、郊外や農村部は人口減少が著しく、各県の主要都市に人口が流入している。
人口減少が、すでに始まっている(沖縄県では2035年ごろから)日本では、今後ますますこの傾向に拍車がかかるだろう。

 先に述べた、「鍵をかけないで家を留守にできる」という状況の源にあるのは、地域共同体・農村(漁村なども含む)共同体が浸透していたからだ。

しかし、それは過去のものとなった。

社会学では、ゲマインシャフトからゲゼルシャフトへの移行と言われる近代化がもたらしたものだ。

日本の各県では、こうした移行は1950年代からしだいに始まった。農村(同)から都市への移動が始まったのだ。

こうした、各地から都市に人が集まると、そこで新たな共同体を作るのは、そう容易ではない。同族あるいは、同じ場所で暮らすとなると、そこには運命共同体のような感情が湧いてくる。しかし、都市部において各地から集まった人々の間には、そうしたものは存在しづらい環境だ。そこにあるには、効用や利益を追求した社会で、互いが同じような場所にすみながらも、ある種、競い合う環境が展開している。 

こうした社会の変化は、「住まいの変化」をもたらした。

都市部に効率よく住宅を供給するためには、マンションというスタイルは合致している。そのため、数が一気に増えた。

平屋の戸建て住宅ばかりの街が一変する。そして、競争原理が働くことにより、都市部においても貧富の差が目立つようになり、その傾向は住宅にも表れるようになった。

 賃貸住宅は、もともとテンポラリー(仮の)な住宅として、存在してきたことは間違いない。しかし、いまでは、賃貸住宅への考え方も変化してきている。

持ち家志向は、年々低下している。その理由は、本連載で幾度となく書いてきたので、そちらに譲るが、その傾向はかわらないだろう。

 
 このような流れの中で、賃貸住宅に求めるものも変化してきた。

これまでは、なんといっても家賃と立地が重視されてきた。築年数に相応する、あるいはそれ以上のバリューがあるものであれば、入居者に受け入れられてきた。

 
 しかし、冒頭に長く述べたように、社会の変化により、すぐそばに住む人は、「親類あるいは知り合い」だったのが、「隣に住む人は他人」となったのである。そうすると、住まいに求めるものに、「安心・安全」が加わった。セキュリティーレベルの高さが住まいに求められてくるのだ。
その状況は前回述べたように、「たとえ賃料が高くても賃貸住宅に求めたい設備」の項目をみると、一目瞭然だ。セキュリティーに関する項目が多く登場している。
 
 さらに、図2を見ていただき、オートロックについて深堀してみたい。

(図2)
都道府県別 借家におけるオートックの有無割合

図2は都道府県別の貸家(賃貸住宅)におけるオートロックが有るか無いかの比率を示したものだ。

これを見ると、京都・福岡・東京・大阪といった人口流入、とくに若年層(学生や若い世代の社会人)が多く住む場所の賃貸住宅にオートロック付きが多いことがわかる。

沖縄県は下位から11番目。もう少し少ないと思っていたが、意外にも約10%の賃貸住宅にオートロックが装備されている。

全国平均では25.7%となっているが、これから賃貸住宅は築年数40年を超える建て替え物件が増えてくる。
その建て替えが進み古い物件がなくなると、この比率はますます高まるだろう。

これからの沖縄県における賃貸住宅では、オートロックは必須であると思う。