沖縄県における有効求人倍率の変化は、人口流入にどんな影響があるのか?

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賃貸住宅需要に人口流入が大きな影響を及ぼすことは、広く知られている。

また本サイトにおいては【沖縄県の賃貸住宅着工数はなぜ増えているのか?】に述べた。

 沖縄県において、県をまたいで、住民票を移しての移動(つまり内地=県外からの流入)の場合、多くの方々は、始め賃貸住宅に住む。民間の賃貸住宅を自分で探すという場合もあれば、社宅という形で借りる場合もあるだろう。

 県内の移動では、特に那覇周辺エリアへの流入は多いが、これらの場合も始めは賃貸住宅という場合が多いようだ。(もちろん、自宅を購入して、という方もいる)

 日本の主要大都市において、人口流入は有効求人倍率の影響を受けることが知られている。ある意味それは必然で、人口移動の主な要因は進学と就職だからだ。

沖縄における有効求人倍率の変化を表したものが 下記の図だ。


沖縄における有効求人倍率の変化

沖縄の主要産業は、長く3Kと呼ばれる建設、観光、基地だったが、建設需要には波が大きく、一方観光産業は右上りに成長してきたこともあり、いまでは、1K+2Kの様相だ。

この図を見ると、それがよくわかる。

バブル期(1980年代後半~90年代前半)、ミニバブル期(2005~2008)、そして近年の三回大きな波がある。

いずれも、本土から沖縄への投資が増えて、観光施設や、大規模な住宅開発が起こった時だ。
現在も大規模な投資が行われておいる。こうした時に、一気に有効求人倍率があがる。

では、有効求人倍率が上がると、人口流入が増えるのか?

図1
「沖縄県の賃貸住宅着工数はなぜ増えているのか?」

図1をみると、さほど大きな影響がないようだ。

転入超過(転入―転出)を見ると、上記の期間は、本土の景気もよく、本土へ職を求めて、県内から本土へ出ていく人が多いと思われるため、有効求人倍率増加期にもかかわらず、転出数の方が多いという状況だ。

こうして考えると、本土の主要都市と異なり県内においては、有効求人倍率の上昇期は流出も増えることもあって、賃貸住宅需要には大きな影響はないと思える。