那覇市における空室の推移を検討したい。
図1
図1は、2003年~2013年の那覇市における賃貸住宅の空室率を示したものだ。(総務省データは、5年ごとに発表。最新は2013年分)
那覇市内の賃貸住宅の空室は14%~12%と、全国平均に近い。一般的に、中心都市では賃貸住宅の空室率が低いように思われがちであるが、全国各地のデータを見ていると、意外にもようとは言えないようだ。東京23区、大阪市内ともに全国平均並みかそれ以上だ。(大阪市内は20%近い)
これは、いくつかの理由が考えられるが、大きな要因として古い賃貸住宅が多いということが挙げられる。
中心都市(大都市)においては、戦後の混乱期を経て1950年代から70年代前半にかけて、地方からの人口流入が多く、それらの人々の需要を見越した賃貸住宅が多く建てられた。
那覇市内においても、戦後の混乱期徐々に地域解放された経緯もあり、土地区画がきれいに行われていない場所も見られる。また、住宅事情もよくなったことから、早くから賃貸用の住宅が建てられていた。
こうした賃貸住宅が築40年以上を経ていま、建て替え期を迎えようとしている。古い賃貸住宅は、最入居者が、賃料が安くても敬遠する傾向にあるので、空室率があがる。さらに、また、建て替えを予定しており、新規入居者募集を停止しているので、空室が出たままとなる。こうして、都市部でも賃貸需要は旺盛ながら、空室率は高いという状況が生まれるのだ。こうした、築年数が40年以上物件、また募集停止物件を除くと、都市部の賃貸住宅空室率はおそらく5%程度は下がるのではないかと思われる。
古い賃貸住宅を所有しており、建て替えようか迷っている方は、一度賃貸住宅メーカー(建設会社)に相談してみるといいだろう。
【データで分析!県内の相続税課税者】
平成27年1月1日から相続税のルールが改正された。
改正の大きな点が基礎控除の額が減ることだ。
これまでより多くの方々に適用されることが予想される。改正により相続税義務が新たに発生するイメージは以下のようなケースだ。
(ケース)
父親が死亡。母親と子1人が相続人で、相続財産として不動産3,000万円と預貯金3,000万円(相続財産合計6,000万円)というケース
このケース、改正前の基礎控除は、
基礎控除の金額 = 5,000万円+1,000万円×2 = 7,000万円
相続財産が6,000万円 なので、基礎控除7,000万円よりも少ない。よって、相続税はかからない。
これが、改正後は、
基礎控除の金額= 3,000万円+600万円×2 = 4,200万円
相続財産が6,000万円 で、基礎控除4,200万円を上回る。よって、相続税納付義務が発生する。
これにより、沖縄県内では、どれくらい人数が増えるのだろうか?
上記の表は平成25年の沖縄県における、相続税に関するものだ。
平成25年には10956人の方が亡くなられ、そのうち151人が相続税対象の財産をもって亡くなられた(1.4%)。課税対象者は590人。納税者は514人、納税金額は約21億円となっている。
図2
図2は、平成25年における全国の相続税課税割合を示したものだ。
大都市以外では、静岡県・奈良県が5%を超えているが、地方都市は1%台のところも多い。
これが、平成27年になるとどうなるのだろうか?
【小規模宅地の特例】
前回に引き続き、相続税に関する議論をしてみよう。
今回(平成27年初から)の相続税のルール変更は、「小規模宅地の特例」も合わせて改正された。
これは、納税義務者にとって有利な改正だ。
まず、「小規模宅地の特例」とは何だろうか。
被相続人または被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業用または居住用に使用していた土地で要件を満たす場合は、限度面積までの部分について、評価額を50%~80%減額できる。
改正により、どう有利になったのだろうか。
ポイントは、評価の減額が行われる限度面積と適用面積の拡大だ。
居住用の宅地等(特定居住用宅地等)の限度面積が拡大
改正前 限度面積 240㎡(減額割合80%)
⇒ 改正後 限度面積 330㎡(限度割合80%)
居住用と事業用の宅地等を選択する場合の適用面積が拡大される。
改正前は、特定居住用宅地等240㎡ 特定事業用等宅地等 400㎡の内、合計400㎡まで適用可能という限定的な適用だったのが、改正後は特定居住用宅地等が330㎡に拡大され、合計適用面積も730㎡となり、それぞれの限度面積まで完全に適用できるように改正されます。
(但し、ケースによりこうした特例適用を受けられない場合もあるので、詳しくは税理士に聞くことをお勧めしたい。)