賃料が上がっても欲しい住宅設備は何?

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大鏡建設では、建築し管理している賃貸住宅に入居されている方々へアンケートを行っている。
入居者にニーズを詳しく聞き出し、それらを分析することで、「顧客=入居者、視点に立った」、「空室の出にくい賃貸住宅」をオーナー様に提供したいという考えからだ。
また、アンケートは、一定期間ごとに行っており、その結果からは経年の変化が見られ、これらも「空室の出にくい」賃貸住宅を提供する源泉となっている。

平成23年~平成27年4月において、入居契約時に協力を得られた合計313人の方からアンケート調査を行った。
その中から、「賃料が上がっても欲しい住宅設備は?」という項目について、考察してみたい。

「賃料増でも欲しいもの」で、一番多く回答があったのは、「温水便座」 だった。
今や、一般的に広く普及している温水便座。総務省の調査では、日本の全体では70%近く普及している。温水便座のことを総して、「ウォシュレット」という方が多いが、この「ウォシュレット」はTOTOの商品名で、一般的には温水便座というのが正しい。ちなみにシェア2位のINAX(LIXIL)の商品名は「シャワートイレ」という。こちらの名称は広く知られていないようだ。やはり、最初に商品化されたTOTOの「ウォシュレット」の印象が強いからだろう。

5年に一度総務省が行う全国消費実態調査(平成26年が最新)によると、 都道府県別では富山県が最も普及しており全世帯の約82%の家庭に備えられている(5回=25年連続1位)。富山県は持ち家比率が日本一で、温水便座の普及率の高さは、そのためだと言われている。(実際の理由は分からない。単にキレイ好きなだかけも)
一方、沖縄県は全国最低で約30%に留まっている。
富山県においては、当たり前のように備わっている温水便座であるが、沖縄県ではまだまだ珍しい住宅設備品ということになろう。ましてや、県内の賃貸物件では、30%よりもだいぶ少ないと予想される。こうしたこともあり、「賃料が上がっても欲しい」ものの1位が温水便座だったのではないかと、推測される。 今後、県内での温水便座は広く広まっていくことだろう。「賃料があがっても欲しい」ものから、「あって当たり前」のモノになる日は近いだろう。

ちなみに、「賃料が上がっても欲しいもの」の2位は、ウォークインクローゼット。3位はガスコンロ付キッチンという結果になった。(表1参考)

家賃が上がっても欲しい住宅設備棒グラフ

表1

【今の賃貸住宅に住んでよかった!と思えることは?】

新しい住まいを探し、住居を移すことはワクワクする。
それまで住んでいた所よりも、よりよい住まいを求めて引越しをするわけだから、「引越ししてよかった!」を実感してもらいたいものだ。

大鏡建設が建築し管理している物件の入居者へのアンケート結果から、どんなことに満足されているかを分析してみたい。(表2参考)

入居物件で気に入った点棒グラフ

表2

このアンケートは、世帯形式別になっており、単身、カップル、DINKS,ファミリーの4つのカテゴリーに分けて集計した。

単身の方の上位は、「職場に近いこと」、「インターネット接続が無料であること」 となっており、単身者(その多くは就業者)の生活スタイルが垣間見られる結果だ。「インターネット接続が無料であること」 は多くのカテゴリーでも上位にきており、無料というだけでなく、イチイチ接続の手配するのが面倒で、それが省けることは魅力だろう。

カップル、DINKSにおいての特筆すべきことは、「対面キッチン」が上位にきていることだ。恋人どうしの住まい、新婚の住まいでは、あこがれるスタイルだろう。

ファミリーの方からの回答では、「学校が近い」 という子供を抱えた家庭ならではの回答が1位で、住む人数の多さからか「収納の多さ」も上位にきている。

これらのアンケート結果をみると、住まう人によってかなり満足している点(=求めるもの)が異なるということが分かる。
単身者の多くは1R、DINKSやカップルでは1DK、1LDK,2DK、ファミリーでは、2DK以上の物件が中心であるが、これらの物件では求められる要素が異なる。
賃貸住宅を建築する際には、まず主たる入居者イメージを定め(大型物件の場合は、複数の可能性アリ)、先のアンケート結果に見られたような満足するポイントを的確にとらえた物件を建てることが必要と言えるだろう。

入居者の方々のアンケートからは、「賃貸住宅経営の多くのヒント」が見えてくる。

不動産エコノミスト 吉崎誠二

不動産エコノミスト 吉崎誠二